DMCファンタジー「蒼い月」

卒業〜graduation
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◆ フィアンセ@


「ダンテ」

卒業式を2週間

◆ フィアンセ@


「ダンテ」

卒業式を2週間後に控えていた
ある日、
ダンテは学校の中庭で
呼び止められた。

「サリア・・なに?」
「ちょっと 相談にのって欲しいの」

サリアは
あのダニエル*のステディで
さっぱりしたショートヘアーのキュートな子だった。

彼は人間として生きていくことを決めてから
それまでつっぱっていた態度が消え
むしろ 人を避け
静かに物思いに耽ることさえあった。

そんな彼のこころを引き立てるように気を配ったのが 
サリアだった。

ダニエルは彼女に心を開き
やがて恋をした。

「わたし、彼に
結婚を申し込んだの。
大学を卒業してからってことなんだけど」
「へぇ、そう。
で?」
「断られた・・」
「うそ・・」
「彼、打ち明けてくれた。
自分は人間じゃないって」
「・・・」

「こどもが・・生まれるのが
こわいって・・」
「半魔になるから?」

「わたしは 人間も魔族も
それから
半魔も共存する世界なんだから、
そんなこと関係ないと
ほんとにおもってたんだけど、

彼はすごく コンプレックスをもっていて
そんな自分の血が残るのがいやだ・・っていうの。

ダンテ、半魔ってどんな気持ち?
いやなこととか、あった?」

そんなことない、と
言ってやりたかった。
しかしダンテは答える

「普通に暮らしているんだけど
忘れた頃に 
好奇の目や蔑むような言葉を
投げかけられたことは
あるさ。」
「でもあなたたちが悪の暴走を止めてるのよね。
わかんないのかしら」

サリアが正義感いっぱいの目をして
口をとがらす。

「サリアは子供がほしいから結婚したいんじゃないんだろ」

「そう、わたし、彼のそばについていてあげたい。
わたしも 彼にそばにいてほしい。

ずっと・・・家族として・・・

こどもはその成り行きでしょ?
もし彼がそれを避けるなら
わたし それにはこだわらない。

彼が 好きなの・・

ダンテは?恋人は?」
「いるよ」
「結婚、するの?」
「彼と?」

「彼?
・・・そっか、それはそれで たいへんね。
愛してるの?」
「こころからね。

おれは・・・だけど ダニエルの気持ちがわかる・・

半魔であること
二つの血が流れることは
強く、すばらしい絆の証だから
誇りにしていいと、
教えてもらった・・・
でも
やっぱり暗い面をもつ魔が引き継がれることは
怖い・・・」

「だから”彼”にしたの?」
「たまたまだ。
俺はその人が好きだ。
種族とか性別とか
そんなところじゃなく
そのひとが、すきなんだ。
そのひとも おれを たいせつに たいせつに
してくれる・・・・」

「深いわね。 羨ましいわ。
でも人間ってほんと区別したり 差別したりするわよね!

わたし・・
法科へいくの。
理不尽なしくみを
ぶっとばしてやるわっ」
「魔族だっておかしな誇りだの権威主義だの
そんなもののかたまりさ。
紙一重もちがわない。

人間と魔族は
裏表の関係だからな。
サリアみたいな人間ばかりだといいな。
おれはダニエルがうらやましいよ。

あいつを 助けてやって。
辛い目にあってる。

あいつには 君の気持ちを伝えるよ。」

「ありがとう、ダンテ。

あなた、やさしいわよね。
ぜったい 
幸せになるのよ!」

***
*「ダニエル」は小編“プライド”で登場した美しい魔族

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