DMCファンタジー「蒼い月」

境界線 第2章 絵描きのコムーネ
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<燐光の境界>

***

ダンテはさ迷っていた。
漆黒・・・ではなく
霧のように細かな
暗い赤が漂っている。
浮かび上がる枯れ木の森。
それは 乾いたヒトの骨のように
すすけた 灰色をしている。
その横を通り過ぎると
自分の後ろで それがカラカラと崩れ落ちていく音を聞く。

ただ一本の枯れ木の裂け目に
埋め込まれたような 光る小石
反射する光ではなく
小石は 自ら ぼんやりと白く光る。

指先ほどの小石を手のひらに乗せ
握り締めれば 暖かささえ感じる。

しかし再び開いた手の中で
小石は 微細な砂粒になって
飛び散った。

「壊しちゃった・・・」

ダンテはしゃがみこんでシクシク泣く。
小さな子供に返っている。

「まだ 不安のなのか?」

顔を上げると 少し離れたところから
頬杖をついて座る(実際は浮いていたのだが)
魔人がいた。
魔人は微笑んでいるように見えた。

「おまえの歩いてきた道を 振り返ってごらん」

崩れた枯れ木の屑は 
闇に引かれた境界線のように
一筋の光の道を成していた。
光はあいまいでけっして明るいものではなかったが
きっと 消え去ることはないだろうと
確信できた。

「崩れた光る小石には 
お前を待ち続けていた魂が閉じ込められていた。
いまようやく解放され
それがいるべきところへ 飛んだんだよ。

だから 泣く必要はない。
おまえは お前のいるべき所へ
戻りなさい。
お前はひとりではない。
背負い込まなくてもいい。

親しむ人が 灯火をかざして
まっている」

その後 ダンテは意識が途切れ
深い眠りに入っていった。

***


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