1/4ﾍﾟｰｼﾞ目 バージルと四が 北の大地に消えてから その場にとどまろうとするダンテをひきずるようにして 弐伊は パリのアパートに戻った。 兄は必ず 四が取り戻す、また そうさせてやってくれと ダンテを説き伏せ、彼が落ち着きを取り戻すまで 数週間をパリで過ごした。 そして 国に戻ったのはいつもより足早にやってきた 秋のさなかだった。 ダンテはなによりもまず 旅から連れ帰った 二つの骨を弔ってやりたかった。 東ヨーロッパの紛争に散った ふたつの命。 ニンゲンとして再出発を願った 魔族の友人、ダニエルと 自由の国を夢見た幼い エミール。 骨の欠片を納めた小さなモザイクの箱を並べ、しばらく声なき会話をする。 やがて 「行こうか」と口に出し ダニエルのほうをいちど胸に抱き、そしてポケットにおさめた。 「エミール、君はこれからここで過ごせ。 知らない国で一人ぼっちはいやだろ？ けど、いまはお留守番だ。いい子にしてな」 そして 軽く駆けるようにアパートを出たのだった。 「あ、ごめんよ、まった？」 町の中央公園の並木道のベンチで 弐伊と待ち合わせていた。 「俺がついていってやる」といった弐伊に 「いいよ、それじゃ俺だけ甘えているみたいで ダニエルに悪いや」 と 断ってみたが、 切ない感情に押し流されそうで 繋いでいてくれる手がほしかった。 「俺も一緒に弔いたいのだ」と弐伊が押し通してくれたのを救いに 「しかたがないな、弐伊も連れてってやるよ」とうそぶきながら、 ふたりででかけることにしたのだ。 [指定ﾍﾟｰｼﾞを開く] ＜＜重要なお知らせ＞＞@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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