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＜メトロ＞
空を半分に色分ける 灰色の陰を
人々はさして 気に留めることもなく、
かえって 季節の暑い日差しを和らげる
シェードかなにかでもあるように思っているようだった。
実際 メトロの車中で小耳に挟む会話にも
「少し不気味だけど、涼しいのはありがたいや」
などと 軽い調子があった。
いつもより 大きな規模の火山の噴火のせいと思われている
その陰が
魔界からの混沌のしるしだとは
もちろん 誰も知らない。
それが実際どれほどの力をもつのか、
自分達4人が全て揃う必要があるという
その混沌を思うと
知らず 緊張感に 肌をひやりと撫でられるように感じる。
同時に 自分がどれほどの力でそれに立ち向かえるのか
それを確かめることができるのだと思うと
沸き立つようなココロの高まりを 抑えられないダンテだった。
「どうした？」
うつむいて 手を握り締めている様子を見て
弐伊が声をかけてきた。
「いや、なんでもない」
「明日からのことか。
俺は わくわくしてるぜ。
最近チョロイ相手ばかりだったからな。
それに 初めてのダブルスが
ほんとうに楽しみなんだ」
「戦闘フェチかよ。
やだねぇ、おっさん。
俺は平和主義だもん」
「悪魔野郎って呼んでくれ」
「まんまじゃん」
「しかたねぇさ。
あまり気負うな。今回はひとりでやるんじゃない。
みんなに頼れ。
俺もお前に頼る。
だから
今日は忘れてろ」
そういって 弐伊は ダンテの頭をクシャっとひとなでした。
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