DMCファンタジー「蒼い月」

境界線 第2章 絵描きのコムーネ
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(画:ナターシャ)

<西へ、再び>

***

(画:ナターシャ)

<西へ、再び>

***

「日が暮れちまうぞ。長い昼寝はおわりだ」
「・・・弐伊?・・・」
「期待に沿えず申し訳ないが ディオ様だ。

今晩はコムーネからお前に 感謝のパーティしようとおもうんだが・・」
「感謝?」
「ボヌマンは哀れだったが魔に蝕まれてしまった。
同時にコムーネも魔性に彩られた偽りの姿だったかもしれない。

そこから解放してもらった、感謝だ。
魔性はたしかに人を魅了する芸術を生み出してくれた。
でも俺たちは、これからもっと人間を映し出す創造をしていきたいとおもう」
「ボヌマンのとこにいた、小さい子は?」
「キアラ? フランチェスコが約束どおり 連れて出たよ。
お前に会うと 泣いちゃうからとかいって
そっと出て行った。祝福してやってくれ。
キアラから預かっているものがある」

それはダンテの ちいさなクロッキーだった。
ダンテはチクリと胸が痛んだが
ありふれた感傷なのだと気にしないことにした。
むしろ ようやく幸せになろうとしているふたりを
ディオの言葉通り、祝福しようと思った。

パーティには意外な人達が呼ばれていた。
あの ロマの一団だった。

まずこどもたちが駆け寄ってきた。
しかし 巫女のアマヤが両手をひろげてちかづくと
こどもたちは すっとその場をアマヤにゆずった。

アマヤはダンテを抱きしめて言った。
「元気そうね。
しばらく見ないうちに
ずいぶん成長したかしらね」
「俺?俺はあいかわらずだよ」
「そうね。あんたは変わらないのかもしれない。
まわりが変わるのね、きっと」

久しぶりに聞くロマの調べに
その晩は酔った。
ニシュでは 苦い思いをしたが
いまは なにかしらの達成感があった。

***

一週間ロマは滞在し、その後南に旅立つということだった。
ダンテもそれにあわせて コムーネを去ることにした。

「冬の間 いろよ」
ディオが引き止めたが、それは断った。

南へ向うロマを見送り、
そしてまた自分も見送られ
ダンテは西へ 向うのだった。


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