DMCファンタジー「蒼い月」

境界線 第2章 絵描きのコムーネ
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<使徒たち>

***

「ぶぇっくしょい」

豪快なくしゃみに おのれが驚いて
ダンテは跳ね起きた。
「さっぶ。。。」

自分は裸で
足のあいだにシャツをはさんでいる。
状況を理解するのにしばらくかかった。

思い出すにつれかぁっと顔が熱くなってくる。
そして あわてて 脱ぎ捨ててあった下着とジーンズをわしづかみにすると
それを穿きながら よたよたとコムーネに向った。

「キアラ! キアラ!」
ボヌマンの家はだれもおらず
また飛び出したダンテは
カフェのディオを 訪ねた。

ディオは トウモロコシををかき混ぜてポレンタを作っている最中で
手を止めずに振り向いた。
「ああ、おはよう・・・
うまく・・・いったようだな。
静かな朝だ。おまえがどたどたしてる以外はな・・・」

そういって、にっこり笑った。

「キ・・・キアラ知らないか?」

「ああ、見ていないが、たぶん・・・
ケッコと出て行ったんだと思う」

ダンテはへたへたと座ると
テーブルに突っ伏して 頭を抱えた。

「ディオ〜・・・俺さぁ、なんかゆうべ・・」
「忘れろ」
「えー!俺そんな、不誠実じゃねぇもん」
「いま、お前の考えてる『誠実』は
あの二人には余計なお世話になっちまうぜ。
キアラとフランチェスコは
これ以上ないほどクリアで プラトニックな愛でつながっている。
そりゃ ケッコだって本来は男だし
本当なら 腹の底から燃え上がるような欲求を
満たしたいはずだ
お前が現れたことを

いつか 来るべくしてきた日とわかってはいても

嫉妬し、羨望もしただろう。

しかし ケッコの キアラに対する愛は もっと深く、大きい。
与えられた使命と理解したからだけではない。
その 深さは 使命を与えた 古の主の想像さえ
超えていたかもしれない・・・」

そう話しながら ディオは ポレンタの鍋から一旦離れると
ちいさなポットにお湯をいれ
その上に香油を張った皿をのせた。

「そしてキアラも 自分に与えられた役を受け入れ
その上で魂のすべて、自分の愛のすべてを
ケッコに預けたんだ」

「みんな あらかじめ用意されていたストーリーのように聞える」

「そう・・・だな」

香油のポットはダンテの目の前に置かれる。
くらっとするような甘い香りで
ダンテは まるで酒に酔ったような気分になり
急激にねむくなってきた。

「あ・・・さっき目が覚めたばかりなのに・・
ディオ・・・って、俺のこと  知ってた・・・の?」

天井も床もぐるぐるまわるようだった。
からだが揺れる。
大きな音をたてて
ダンテは 椅子ごと 倒れこみ
そのまま意識を失った。

「待っていた、王よ。
今は 休め。
そして キアラとの事は 

忘れてくれ」

ディオは細いからだにあわず
大きなダンテをひょいとかかえると
店の奥の部屋の自分の寝台に
寝かせてやった。


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