小説館新館*凍土の花

凍土の花
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§1 氷の回廊

四は自分の足音を確かめながら ひたすら

§1 氷の回廊

四は自分の足音を確かめながら ひたすら歩み続けていた。
そうでもしなければ、ただ美しいだけで何の変化もないこの青い氷の通路で
すべての感覚を失いそうだった。
ほんとうに歩いているのかもわからない。
規則的に足を踏み出しているのだろうが、
浮き上がり、漂っているような錯覚。
進んでいるはずだが、いつのまにか逆戻りしているのではないかと思う 混乱。
上も下も右も左もただ青くぼんやりと光を放つその場所で
自分もその青に染まり、吸い込まれ、消えていく幻覚。
生きていることさえ疑わしく、
むしろ すでに永久の輪廻の道に放り込まれた死人なのだと言われた方が
納得がいきそうな気さえする。

四は無理やり口を開き 自分に語りかける。
「アイツを取り戻せ・・・」

そしてふたたび 自分の足音を確認するのだった。

***

神々がなぜ 自らの影を人間界におとしてまでバージルを欲しがったのか、
バージルがなぜ あれほどまでに魔に固執したのか、
それを知らなければならない。
ただ 帰って来いといっても 自分の意志で神とともに消えたバージルは
聞く耳を持つまい。

「まるで こどもにてこずる母親だね」
四は皮肉っぽく自分を笑った

「しかし・・・いつまでこの回廊は続くんだ・・・
これじゃあだめだ、だめなんだ・・・」

「立ち止まれ・・・目を開け・・・真実をみろ!」

四は自分に語り続ける。
そして
立ち止まり 目を閉じ大きく息を吐く。
再び目を開いたとき
そこは氷の平原だった。
叩けば崩れ落ちそうな氷の樹が散らばるように生えている。
その一本に背を預けて立つ 人影があった。

「バージル・・・・?」


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