1/12ページ目 §1 氷の回廊 四は自分の足音を確かめながら ひたすら歩み続けていた。 そうでもしなければ、ただ美しいだけで何の変化もないこの青い氷の通路で すべての感覚を失いそうだった。 ほんとうに歩いているのかもわからない。 規則的に足を踏み出しているのだろうが、 浮き上がり、漂っているような錯覚。 進んでいるはずだが、いつのまにか逆戻りしているのではないかと思う 混乱。 上も下も右も左もただ青くぼんやりと光を放つその場所で 自分もその青に染まり、吸い込まれ、消えていく幻覚。 生きていることさえ疑わしく、 むしろ すでに永久の輪廻の道に放り込まれた死人なのだと言われた方が 納得がいきそうな気さえする。 四は無理やり口を開き 自分に語りかける。 「アイツを取り戻せ・・・」 そしてふたたび 自分の足音を確認するのだった。 *** 神々がなぜ 自らの影を人間界におとしてまでバージルを欲しがったのか、 バージルがなぜ あれほどまでに魔に固執したのか、 それを知らなければならない。 ただ 帰って来いといっても 自分の意志で神とともに消えたバージルは 聞く耳を持つまい。 「まるで こどもにてこずる母親だね」 四は皮肉っぽく自分を笑った 「しかし・・・いつまでこの回廊は続くんだ・・・ これじゃあだめだ、だめなんだ・・・」 「立ち止まれ・・・目を開け・・・真実をみろ!」 四は自分に語り続ける。 そして 立ち止まり 目を閉じ大きく息を吐く。 再び目を開いたとき そこは氷の平原だった。 叩けば崩れ落ちそうな氷の樹が散らばるように生えている。 その一本に背を預けて立つ 人影があった。 「バージル・・・・?」 [指定ページを開く] <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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