そして、僕らは手を繋ぐ



4年前。
私は、初めて刹那の手に触れた。
私よりも少しだけ大きな手。
この、暖かく柔らかな温もりを 手放したくない、と思った。


その直後の、惨劇だった。


彼の愛機が見つからなかった。
彼自身も見つからなかった。



わたしは、ぬくもりをてばなして しまった…



そんな苦い想いを抱えたまま、4年もの月日が流れたある日、
彼が―刹那が、戻って来た。




「刹那っ…!」
「!…フェルト」

思わず、駆け寄ろうとした足をピタリと止め、まじまじと眺めてしまう。
大きく、なってる…
記憶の中の彼よりも、ずっとずっと成長している。

「…?どうかしたか?」

そんな私の態度をどう取ったのか、心配したような声を掛けてくれた。

「っ…なんでもない。心配しないで?」
「…そうか」

本当は、少しびっくりしていた。
身長がティエリア位に伸びている事にも
大人っぽくなった顔にも
…“フェルト”って、ファーストネームだけで呼んでくれた事にも
「ねぇ、刹那」
「?」
「手、握ってもいい?」

唐突な私の要望に、刹那は「あぁ」と頷いてくれた。

きゅ、と 手に触れる。
4年前は、私より少しだけ大きかった手。
それが今は、ずっと大きくて、
彼の成長を実感させた。

それでも、この暖かく柔らかな温もりだけは変わらなくて

「…刹那。私ね」
「…なんだ?」
「4年前に 刹那の手に触れた時、…失いたくないって、思ったの」「……」
「失いたくないって、思ってしまったの」
「……」
「だめ、だよね。こんなじゃ。
私達は、沢山の人達の“失いたくないモノ”を、奪って来たのにね…」

そう 忘れてはいけない。
私達は、きっと歴史に残るような、テロリスト。
幸せを望んではいけない。

「…俺も、」
「え?」
「俺も、思った」
「…?」
「フェルトの手を、失いたくないと 思ってしまった」
「!ぉ、覚えてた、の?4年前の…」
「…当たり前だ」

ふい、とそらされた刹那の顔が真っ赤に染まっている。
それにつられて、私の顔まで熱くなって来た。

…あぁ、どうしよう。
幸せだと思ってしまった。



―お願いです。

もう少しだけ、幸せだと思わせて下さい…

私は、彼の手を握る力を少し強めて、
…彼も、強め返してくれて、

束の間の幸せを、噛み締めた。


―そして、僕らは手を繋ぐ



*

<<重要なお知らせ>>

@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
@peps!・Chip!!は、2024年5月末をもってサービスを終了させていただきます。
詳しくは
@peps!サービス終了のお知らせ
Chip!!サービス終了のお知らせ
をご確認ください。



w友達に教えるw
[ホムペ作成][新着記事]
[編集]

無料ホームページ作成は@peps!
無料ホムペ素材も超充実ァ